税理士法人みらい経営

取扱業務

みらい経営支援(月次監査)

毎月の訪問業務

税務申告・税務相談

納税予測から相談業務

資産税・相続税業務

相続や贈与、資産売却、資産組み換え業務

経営相談

経営戦略と計画の支援

事業承継と再生支援

人材育成と組織強化

IT化と業務効率化

リスクマネジメントと法務支援

相続・事業承継

ファイナンシャルプランナー(財産活用)業務

一般社団法人 全国相続協会・相続支援センター

高齢者が安心して暮らせる社会の実現を目指し、その志ある全国の専門家とネットワークを組み、遺言書の普及、相続セミナー、遺言執行人の引き受けの他、相続の専門家の紹介など相続に関する支援、研修を行う団体です。

家族信託相談

後見制度の取組み

少子高齢化社会が叫ばれている頃、平成19年に、名古屋税理士会推薦の下で名古屋家庭裁判所から法定後見を受任しました。当時、金融機関の支店レベルでは事例がなく、預金口座の名義変更は1週間程かかりました。
この事例は、生後半年から心身共に成長のない意志判断能力のない18歳の方で、障害年金を母親に濫費され、そのため入院費を支払えないので後見人を付けて預金管理を行ってほしい、と病院から申立てられたものです。
初めての後見人でしかも寝たきりの方だったので、裁判所との打合せ、前年の預金口座の動きと結果、当年の生活費の予測報告、年10回程の意見判断能力のない本人との面談など想像以上に大変でした。
この数年前から事業承継関連業務に注力していたので、後見人を体験することにより、遺言書と後見人を更に関連づけることができました。
更に2件目を受任したのですが、何となくしっくりこない、財産管理と常に本人のためになっているのかと「何か」不満足を感じ始めました。
それは「後見人」の身上監護と財産管理についてです。身上監護はともかく、財産管理は「減らさない」ことが大切で、「管理・運用・処分」は以外であり、本人の強い思いとは別に粛々と事務処理を行うことが大切とされるのです。
しかしながら、家族信託を知ると、そうではなく「ご本人」と向き合い、本人の「思い」を聞き取り、実現化に向けて模索することが大切だと感じました。

遺言書への係わり

彼は当時80才で悩みのタネは、子供2人への遺産配分です。不動産収入などに関する面談の折、長男は関西で世帯を持っているが帰省する際、必ずホテルに泊まり実家へは一言挨拶に寄るだけで孫も連れてこない。
それに引換え、次男夫婦は、京都で世帯を持っているが、家族一同で年2~3日泊まりにくる。この温度差に不満をもっていました。
平成22年当時、遺言書の作成について面談の上、提案した結果は次のようなものです。兄弟の配分は4:6の割合で、「付言事項」にご本人にしっかりと思いを書いていただき、弟が祭祀承継者である旨を記述しました。
ご本人が亡くなられ、遺言書の報告を行ったところ、「専門家がついていながらそんな不公平な指導してどうするんだ。兄弟は2分の1ずつこそが平等であり当然だ!」と強いお叱りを受けましたが、「お父様のお気持ちは遺言書の付言事項に書いてある通りです。」と伝え、粛々と遺言執行、名義変更をしました。調停・裁判となりましたが、結果として遺言書通りとなりました。しかし、他に方法がなかったのかと今でも自問自答を繰り返しています。
昨年、相続の手続き・申告のお手伝いをさせていただいた奥様から依頼がありました。一人っ子を10年前に亡くし、ご主人にも先立たれ一人住まいになりました。任意後見契約や遺言書の説明をしましたが、何となく充分なお手伝いができているか、思いに応えていないなどと感じながら時間が経ちました。
甥子さんは4人で、上から3番目の方が身の回りの世話をしていました。ご本人の兄弟と代襲相続としての法定相続人間の配分をどうするのか、がご本人の大きな悩みで、納得できる提案ができませんでした。
それが家族信託の研修で「これだ!これこそが争族の防止策だ!」と意を強くしました。先ずは司法書士の方々とタイアップして不動産の信託契約を組成しました。そして、私どもの税理士法人が信託監督人として受託者をサポートしていくスキームを提案し、契約、信託登記もしました。信託契約関係者はご本人(受益者)と3番目の甥子さん(委託者と受託者)、そして信託監督人の税理士法人みらい経営でありますが、その他の甥子さん全員にも集まっていただき、説明会を開催し、皆様全員の承諾をいただきました。

家族信託・会社法規定の種類株式との係わり

家族信託との係わりは、平成28年1月東京でのCRC事業承継セミナーでの河合司法書士による信託セミナーでした。
民法ではなく、特別法である「信託法」に基づく家族信託での事業承継という発想は「目からウロコ」の考えでした。行政書士・司法書士仲間に呼びかけ、新たな民事信託契約の組成業務に連携して取り組もうと賛同者を集めました。そこで、河合司法書士には、名古屋までお越し頂き、3回シリーズで行政書士会支部研修会で講演して頂き、家族信託のスキルアップに努めました。その後は、種類株式で事業継承スキームの組成に大いに役立ち、家族信託組成の任意チームも結成しました。
名古屋市南部のA社は好業績で株価が高く、親族関係も複雑で事業承継が難問でした。長男は非後継者であり、次男が後継者でした。長男は以前在職していましたが退職金を支給し、現在は他の職業に就いており、株式は現社長である父が90%保有しています。
社長が70才になると同時に次男へ社長交代し、退職金の支給、定款の変更(配当優先株)を行ないました。株式90%保有の株主である前社長が委託者、受託者として新社長が株式の議決権者として管理を託され、受益者は株主である前社長がなりました。
前社長の相続発生時には、新社長に受益権を取得させる旨を定め、新社長が確実に経営権を取得できる信託契約です。信託監督人は私どもの税理士法人がなり、新社長を監視・監督するとともに支援する責務を負います。
社長が交代する前に、利害関係者(当時の社長夫婦、長男、次男)4人全員が、一堂に会して説明し、全員の署名・押印も頂きました。いわば、遺言代用信託を活用した事業承継スキームです。そして、定款変更登記と法務局への登記を行ないました。
名古屋市北部のB社は、現社長(75歳)の弟が専務(70歳)をしており、社長の息子(35歳)が社長に就任する時期でもありました。専務の持株5%があるため、定款変更(配当優先株)をし、委託者は父と専務、受託者は新社長である息子、受益者は父と専務、信託契約は議決権行使です。信託監督人に私どもの税理士法人がなり、支援・監視・監督を担う、との契約を結びました。こちらも利害関係人全員出席の下で説明し、署名を頂きました。定款変更と法務局の登記も完了しました。
※以上の事例は事実に基づいていますが、当事者がわかりにくいように脚色してあります。

事業承継としての活用

中小企業の現状を見る限り、今後は家族信託を使った事業承継スキームの必要性が高まります。契約書にすることで利害関係者全員の意思疎通が図られ事業承継が順調に行くと思われます。会社だけでなく、個人間でも同様です。
後見人制度や遺言書は広く認知度があり、それなりにメリットはあります。そして、更に家族信託によることで確実に事業承継や財産承継することができます。それに加えて種類株式を活用すれば速やかな承継が可能となるでしょう。
専門家としては、各種制度に精通して、様々な組合せにより適確・適切なご提案が実践することが大事であり、それは私たちの社会的使命でもあります。

平成30年、事業承継税制の特例の創設

中小企業経営者の高齢化が進んでいるにもかかわらず、その半数以上が事業承継の準備を終えていない現状を考慮して円滑な世代交代を通じた生産性向上を図るため、10年間の特例措置として、事業承継税制が抜本的に拡充されました。
本年創設の税制は、相続・贈与時に税負担が生じないように、平成30年4月1日から平成35年3月31日までの間に、特例承継計画(※)を作成して平成30年1月1日から平成39年12月31日までの間に相続・贈与による納税猶予制度を適用して事業承継を行う場合は、①対象株式数・猶予割合の拡大、②雇用要件の弾力化、③経営環境の変化に対応した減免制度の創設、④適用対象者の拡大、⑤相続時清算課税制度の適用範囲の拡大が措置されました。
なお、従来の事業承継税制を適用している場合、同特例への切替えは行うことができません。
※特例承継計画とは、私どもの税理士法人が国から認定を受けており経営見通し等を策定するものです。